ブックタイトル【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号
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【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号
解 説 今も昔も不動産有効活用は相続対策を目的として行われることが多い。特に「借金してアパート建築」はその王道といってもよいだろう。 相続税節税の基本は、「時価<相続税評価額」の財産を保有することであり、時価と相続税評価額の差が大きいほどその効果は大きくなる。その点で不動産(特に都心部)は節税に合致した財産といえる。 平成27年1月に相続税の基礎控除額が引き下げられ、都心部であれば自宅と貯蓄があるだけで相続税がかかるようになってしまった。つまり、一般世帯でも普通に相続対策が語られる時代となったのである。 新聞やニュース等で相続税増税問題が取り上げられるたびに「うちは大丈夫だろうか」と不安にかられ、そんなとき、優秀な営業マンの「皆さんやられています」のトークを信じ、現状をきちんと把握しないまま、目先の節税対策に走ってしまった人も多いのではないだろうか。遺産分割、納税資金の確保、節税の3点で考える さて、本事案について、アパート建築前はどうだったのか。相続対策の3本柱である①遺産分割対策、②相続税納税資金の確保、③相続税節税の観点から、問題の有無と対策案を考えてみよう。①遺産分割対策・母の財産は、評価がほぼ同じ不動産が2ヵ所(自宅と遊休地)であり、その他は定期預金のため、相続人が子2人であることを考えると、遺産分割に大きな支障はない。・親子関係、兄弟仲は良く、現時点で遺産分割に懸念はない。・相続人である子2人は共に遠隔地に居住しているため、相続手続きの負担軽減のために遺言作成を検討してもよいだろう。・また、離れて暮らす子のために、どこに何があるか、誰に何を連絡したらよいか等を記したエンディングノートを作成しておくと、子は助かるだろう。②相続税納税資金の確保・相続税は770万円であり、母名義の定期預金6000万円で十分納税は可能である。・銀行の預金凍結解除にかかる手間や時間、葬儀代等の負担を考えると、受取人を子とした生命保険があると便利だろう。③相続税節税・相続税770万円が高いか、安いかは人それぞれだが、節税を検討するなら以下の案が考えられる。A)生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用すべく、定期預金のうち1000万円で「一時払い終身保険」に加入する。B)高校生である孫2人へ、それぞれ「教育資金の一括贈与」を500万円ずつ、計1000万円を行う。C)子2人と孫4人の計6人へ、3年間、それぞれ年間110万円ずつ現金を「生前贈与」する(110万円×6人×3年=約2000万円)。・以上A?Cを実行した場合、母の財産は約6000万円に減り、相続税は180万円(実効税率3・0〈図表3〉相続税評価額財産種別アパート建築前アパート建築後備考自宅(土地・建物) 2,000 2,000アパート(土地) 2,000 1,600 貸家建付地評価アパート(建物) 5,250 固定資産税評価額×貸家評価定期預金6,000 0 自己資金として投入借入金▲9,000 銀行から借入れ合 計10,000 ▲150※1、アパート工事費は1億5,000万円、建物固定資産税評価額は工事費の50%と仮定※2、貸家建付地は80%、貸家評価は70%※3、小規模宅地等の特例は考慮していない(単位:万円)085 Financial Adviser