ブックタイトル【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号

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【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号

55 Financial Adviser費用が300万円、長女の結婚支度金が700万円、あと車はどうみても特別受益にはならなそうだから、外しておきましょうね。ただ、遺産も特別受益もあとから項目が増えてもいいように、ブランクを2?3個作っておいてね。丸山 もちろんでーす。今の項目を全部遺産として合計すると、1億2000万円になりますね。島根 丸山さん、本当の遺産である預貯金や不動産と、みなし相続財産は分けておいたほうがいいんじゃない? みなし相続財産の数値は、あとで次男や長女の遺留分の計算のときに引用できるように。丸山 わかりました! 次に、法定相続分の計算をするとして、母親は2分の1で6000万円、子どもたちは6分の1だから、それぞれ2000万円になりますね。泊 実際の取得分は、母親は0円で6000万円の不足、長男は8000万円で6000万円の超過、次男は生前に800万円取得で1200万円の不足、長女は、生前に1200万円取得で800万円の不足、ということになるわね。超過特別受益についてはなかったものとみなして算出北 ちょっと待ってください。6000万円の不足とか、1200万円の不足とかいったって、すでに、残っている遺産は預貯金の2000万円しかないんですよね?島根 そうです。ただ、長男は遺言で8000万円を取得しているので、この遺贈自体は有効です。ですが、当然もらい過ぎですので、これ以上はもらえません。北 とすると、預貯金2000万円を母親と次男、長女で分けるってことですか?丸山 超過特別受益の件について、もらい過ぎの長男はなかったものとみなすんですよね。そうすると、現実にある遺産は預貯金2000万円で、母親のもらうべき相続分は6000万円、次男のもらうべき相続分は1200万円、長女のもらうべき相続分は800万円となるから、6000万円+1200万円+800万円で8000万円なので、これを分母にして、8000万円分の6000万円×遺産2000万円=1500万円。同様に、次男は、8000万円分の1200万円×遺産2000万円=300万円、長女は、8000万円分の800万円×遺産2000万円で200万円ですね。島根 そうすると、最終的には、母親は1500万円、次男は1100万円、長女は1400万円となるので、次男・長女に関しては遺留分侵害にはならないけど、母親の件は遺留分侵害になるのは避けられないわね。じゃあ、次に、遺留分の計算を…。北 ちょっと待ってください。ついていけてないです。島根 先生は、まだまだ弁護士として修行が足りないですね。おざわ・かずひこ弁護士法人東京多摩法律事務所代表(東京都武蔵野市)。主な著書に、「新・会社法で会社と仕事はどうなる」(弘文堂)、「Q&A新会社法の定款変更手続き」(総合法令出版)、「(共著)よくわかる会社整理・清算・再建の実務手続き」(日本実業出版社)、「相続戦争を勝ち抜く85のルール」など。プラスワンポイント 誰かが生前贈与または遺贈で本来の法定相続分以上のものを取得したために、残った遺産を分割する場合に、超過分(マイナス分)をどのように調整するかを「超過特別受益処理」という。事例では、各相続人の具体的な不足分をもとに計算している(具体的相続分説という)が、改めて残った相続人で民法903条1項に従った算定をするという考え方(本来的相続分説)もある。