ブックタイトル【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号
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【試し読み】Financial Adviser 2017年4月号
011 Financial Adviser100万円まで送金手数料無料の「LINE Pay」サービスを提供しています。 米国はもっと活発です。例えばFacebookはメッセンジャーを利用する送金サービスを始めており、月額1万ドルまでは手数料ゼロとしています。他にも「Snapcash」や「Venmo」など、電子メールやSNSをベースとする決済サービスがいくつも出てきています。 しかし、決済手数料ゼロにして一体どこで儲けるのでしょうか。最大の狙いは「購買履歴」です。購買履歴を参照できれば、その人がどんなことに興味を持っているのか、何に対してならどのくらまでお金を払うのかが手に取るようにわかります。購買履歴はネット販売では〝宝物〟であり、わずかな手数料をもらうよりもはるかに価値があるのです。生活に必要なもののほとんどがポイントで支払えるようになる 最近はAmazonもポイントサービスを提供しています。Amazonは世界中のあらゆる商品を扱っています。つまりAmazonのポイントは、いわば「Amazon発行の通貨」です。 現在Amazonのポイントプログラムは、各国バラバラで運用されています。しかし、これを統一すれば、事実上の「世界共通通貨」が誕生します。それはあらゆる商品と交換できる価値を保証されたものであり、円やドルを超える高い信頼性を担保するものになるからです。近い将来、個人間でAmazonポイントをやり取りしたり、Amazonのアカウントから各種料金の支払いが可能になったりすると思います。 あまりにインパクトが大きいので、まだピンと来ない方が多いかもしれません。でも、家賃や学費などを含め、生活に必要なもののほとんどがポイントで支払えるようになったり、Amazonの口座に入金すると5%のボーナスポイントが付与されるとしたらどうでしょうか。ポイント目当てにAmazon経由での入金や支払いを選ぶ人が増えるはずです。 ポイント発行側は、ネット広告やネット販売にとって最も価値がある購買履歴や個人資産などの情報が入手できます。多少のポイントを付与しても余りあるメリットが享受できるのです。 これらのことは、「通貨」という概念が変わることを意味します。決して大げさではなく、金融や決済、税務などの考え方が根本から変わる可能性さえあるのです。 これは「未来」のほんの一端に過ぎません。「先」を読むには、過去の常識にとらわれず、視野を広げる必要がある。私はそう考えます。たなか・さかえ●1990年㈱CSK入社。CSKグループ会長・故・大川功氏の下で実践的な経営管理を学ぶ。93年マイクロソフト㈱入社。98年ビジネスプランナーとして日本法人の事業計画立案を統括。02年12月に同社を退社後、03年2月㈱アクアビットを設立し、代表取締役に就任(現職)。「未来予測2018-2030 レポート&デジタルサービス」など「未来予測レポート」シリーズの著者。