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金融・経済

経済・金融データ探検隊
VOL.2 私がOECD景気先行指数を重視する理由
金融データシステム 角川総一

「2009年~2012年の民主党政権時と現安倍政権下における経済運営能力を比較」とか「現トランプ政権の経済政策能力は」といったテーマに時々お目にかかります。しかし、これらの議論に決定的に欠けていることがあります。それは「世界経済との比較において政策を評価する」という点です。

グローバル化により世界経済は一体化しつつある。これは間違いありません。つまり、世界各国の景気は互いに似たようなサイクルを描きがち、言い換えれば同期されがちなのです。
であれば、その時々の政府(政権)の経済運営能力を問題にしようとするなら、世界景気を常に参照する必要があります。これ、アッタリマエのことです。にもかかわらず、こんな視点を持たずに「安倍政権の経済政策は前民主党政権に比べ」とか「1年を経過したトランプ政権下の米経済は好調」という論調がまま見受けられます。これは明らかに変です。

例えば、最近では「トランプ政権はなかなかやっとるじゃないか」という意見を目にします。国内輸出産業にプラスになるようにドル安になっているし、それを受け企業収益や雇用は好調だし、むろん株価は順調に上がっているし、というわけです。確かにGDP成長率は2016年の1.5%から2017年には2.3%まで上がっています。
2017年の四半期ベースでの伸び率をみても1.2%(1~3月期)、3.1%(4~6月期)⇒3.2%(7~9月期)、2.6%(10~12月期)と高いです。

これを世界景気と比較すればどうか? 上記の図表にあるとおり。OECD景気先行指数が示すように、世界景気の水準自体が一段と上がっているのです。むろん、このうちの10数%は米国が寄与しています。
しかし言い換えれば、米国以外の世界各国の景気の良さが世界景気全体の80%以上を牽引しているのです。であれば、米国の成長率だけを取り出して米国の経済政策を評価するのはちょっと変ですね。

というわけで、世界景気を知るためのデータは常に座右に置く必要があります。速報性を含め、最も利用しやすいのがOECDの景気先行指数です。
文字どおり、OECD(経済協力開発機構)が毎月作成します。世界各国からの経済データの報告を求め、これをもとに各国別の指数ならびに「OECD」「OECD+major6」「EU」などの指数を作成します。100を超えると景気拡大、下回ると景気後退です。
この指数には、トレンドを含むものと、トレンドを排し循環的な動きだけを取り出したものがあります。一般的に使いやすいのは後者。
近代セールス社WEBコラムのデータ集でも、トレンド除去後の指数(OECD+major6)を掲載しています。major6とは、OECDに加盟していない中国、インド等新興工業国6ヵ国です。