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金融・経済

経済メカニズムを巡る論点対立
VOL.1日本株高は円高をもたらすか、それとも円安要因か?
金融データシステム 角川総一

■イントロ■

一般に株高はその国の為替相場を引き上げると解釈されています。教科書の記述でもこうした見方が大勢を占めています。長期的にみても、1974年にわが国の為替が変動相場制に移行してから、これまでは基本的に円高でした。なにしろ360円の円相場が現在は110円程度なのですから。
これはわが国の国力が格段に高まったためであり、企業の稼ぐ力も強くなり、海外企業にキャッチアップ、それを追い越してきたことが背景にあると解されています。つまり、日本の産業競争力が強くなってきたことが最大の要因です。
さて、いまでも本当にこのメカニズムが働いているのでしょうか?

■旧来の解釈A■

「株高」⇒「企業業績が拡大しており、景気が良い」⇒「景気の良い国にはお金が集まりやすい」⇒「その国の為替相場が高くなる」。これが基本です。 株との関連で言うと、「株高」⇒「これからさらに株高になりそう」⇒「であれば買っておこう」という外国人投資家の買いにより、ドルなどの外貨が売られて円が買われる。この過程で円高が進行するのは当然だ。こうした理由に基づく見方が大勢を占めています。

■対立する新解釈B■

最近ではむしろ、「日本株高」は「円安」をもたらす、というメカニズムが働き始めているとの見方が一部から出てきています。それは以下のような解釈によるものです。 外国人投資家が日本株を買うときには為替ヘッジ(先物での円売り・ドル買い)を行うことが多いです。こうすれば、「日本株は上がったけど、円安になったため、ドルベースで見ると為替差損を被った」というリスクからは免れることができます。仮に、1億ドル=100億円で買った日本株が200億円に上昇したとします。この場合、為替リスクに晒される日本株保有額は100億円分増えました。そこで、増加した100億円分のリスクをヘッジするために100億円分の円売り・ドル買いを新たに行います。 つまり、日本株が値上がりすると、外国人投資家にとっては為替リスクに晒される金額(エクスポージャー)が大きくなります。そのリスクに備えるために追加で円売り・ドル買いの先物取引を行うため、円安をもたらすわけです。 現実にはこのメカニズムが働いている可能性が高いと思われます。